(当別町・月形町) 道 民 の 森


広  報  部  

 道民の森は1985年(昭和60年)の「国際森林年」を契機に北海道が整備を進めた、全国でも最大規模の森林総合利用施設です。札幌市の北東約60km、当別町と月形町にまたがる約11,000haの広大なフィールドには、「森に集う、森に遊ぶ、森に学ぶ」をテーマとした5地区のシンボルゾーンが整備されており、自然体験、レクリエーション、スポーツ、教育・文化活動など、さまざまな活動に利用できます。

  開園期間は5月1日から11月30日までで、冬期間は閉鎖されます。この紹介記事を皆様がお読みになる3月末は、森はまだ深い雪に覆われているでしょうが、開園する5月は、エゾノリュウキンカ、カタクリ、シラネアオイなどの草花がつぎつぎと咲く、最も鮮やかな季節になっています。
案内図「道民の森」

 道民の森には、神居尻、青山ダム、牧場南、一番川、月形の5地区がありますが、初めての人はまず神居尻地区に行ってみるといいでしょう。路線バスなどはかなり不便ですから、自家用車などの使用にならざるを得ませんが、地図を参照の上お進み下さい。案内標識が完備されていますので、迷うことはないと思います。

 神居尻地区は道民の森の中心となるゾーンで、駐車場も十分な広さです。車を降りてすぐに探鳥会を始めるのではなく、総合案内所(午前9:30から)に行ってパンフレットを貰い、地区全体の把握をしてから、好みの散策コースを選ぶのが無難です。1時間コース、2時間コースの他に、神居尻山登山コース(4~5時間)がありますが、春ならばどのコースを歩いてもたくさんの鳥が見られるはずです。

 参考までに、北海道立林業試験場が行った道民の森の鳥類生息調査に関するデータを、関係者の承諾をいただき、次ページの表に紹介します。また毎年5月に行われている野鳥観察会で資料として配付される、道民の森で見られた鳥のリストに記載のあるものを合わせて表に載せます。このリストは、野鳥観察会の世話をされている福岡研也さん(愛護会会員)によって春~秋期間に観察・確認されたものです。

 林業試験場による鳥類相の調査は、平成11年6月17~18日、8月3日、10月12~13日に、神居尻地区で行われました。既存の歩道または管理道に設けられた総延長9kmとなる3つのセンサスルートを、時速1.5km~2km程度で歩き、片側25m、両側50m幅に出現した鳥を記録したものです。調査者を3班に分け、すべてのコースを同時に調査しました。各期間とも基本的に調査は午前と午後の各1回行いましたが、8月は天候不良のため、調査回数は1回でした。

 調査者の方からは、調査日数が少ないことから見落とし等があることを承知されたいとのこと、また、6月は朝早くからエゾハルゼミに鳴かれ、鳥の声が聞き取りづらかったとの話がありました。また、古いものではあるが、クマゲラのものと思われる採餌痕が針広混交林である彫刻の森のトドマツに見られたそうです。

 また、鳥類センサスとは別に、多くの巣箱が毎年5月中旬の道民の森で主催する行事の一環として、神居尻地区の入り口にあたる広場周辺に設置され、これには多くのニュウナイスズメが営巣していることが1999年から観察されているとのことです。

 前述の福岡さんの観察は、神居尻地区だけではなく、道民の森全体を対象としたものですが、表に示すように、これまでに72種の鳥が観察・確認されています。ヤマシギ、コノハズク、アオバズク、フクロウ、エゾライチョウ、カヤクグリなどが載っているのは、いかにも「道民の森」という感じです。また、過去には水域でシノリガモとカワアイサの繁殖が観察されたとのことで、極めて貴重な記録といえましょう。

 今回、探鳥地紹介ということで取り上げましたが、実は道民の森は「探鳥発展途上地」なのです。早朝はもちろんたくさんの鳥たちに出会えるでしょうし、夜にはフクロウたちの声が聞かれることでしょう。この記事をご覧になって多くの方々が道民の森にお出かけになって、「道民の森探鳥報告」をお寄せいただけることを願っています。その他詳細については道民の森管理事務所(501332-2-2151)にお尋ね下さい。

 (以下、平成13年5月の道民の森探鳥会案内の部分を省略)

 
平成11年度調査

野鳥観察会

資 料

科  名
種  名
6月
8月
10月
 サギ科  アオサギ      
 カモ科  オシドリ      
 ヨシガモ      
 シノリガモ      
 カワアイサ      
 タカ科   トビ
 
 オオタカ      
 ノスリ      
 ライチョウ科  エゾライチョウ  
 
 シギ科  ヤマシギ      
 ハト科  キジバト
 アオバト
   
 カッコウ科  ジュウイチ      
 カッコウ
   
 ツツドリ
   
 フクロウ科  コノハズク      
 アオバズク      
 フクロウ      
 アマツバメ科  ハリオアマツバメ      
 アマツバメ      
 キツツキ科  ヤマゲラ      
 クマゲラ      
 アカゲラ
 オオアカゲラ    
 コゲラ
 ヒバリ科  ヒバリ      
 ツバメ科  イワツバメ      
 セキレイ科  キセキレイ
   
 ハクセキレイ
   
 セグロセキレイ      
 ビンズイ      
 ヒヨドリ科  ヒヨドリ
 モズ科  モズ      
 ミソサザイ科  ミソサザイ      
 イワヒバリ科  カヤクグリ      
 ツグミ科  コマドリ      
 コルリ
   
 ルリビタキ
 
.
 トラツグミ
   
 クロツグミ
 
 アカハラ
   
 マミチャジナイ    
 ツグミ      
 ウグイス科  ヤブサメ
   
 ウグイス
 エゾセンニュウ      
 エゾムシクイ      
 センダイムシクイ
 キクイタダキ
 
 ヒタキ科  キビタキ
 
 オオルリ
   
 サメビタキ      
 コサメビタキ  
 
 エナガ科  エナガ    
 シジュウカラ科  ハシブトガラ
 コガラ    
.
 ヒガラ
 
 ヤマガラ      
 シジュウカラ
 ゴジュウカラ科  ゴジュウカラ  
 キバシリ科  キバシリ    
 ホオジロ科  ホオジロ
 カシラダカ    
 アオジ
 クロジ
 
 アトリ科  カワラヒワ
 ベニマシコ
 イカル
 
 シメ
.
 ハタオリドリ科  ニュウナウスズメ
 ムクドリ科  コムクドリ      
 カラス科  カケス    
 ハシボソガラス
   
 ハシブトガラス
.

 

(平成13年3月発行「北海道野鳥だより」第123号から転載)