(苫小牧市) ウトナイ湖
ウトナイ湖は苫小牧市の東部に広がる勇払原野にある230haの湖沼です。この周辺は国設の鳥獣保護区に指定され、確認されている野鳥は250種以上、日本でも有数のマガン、ヒシクイ、ハクチョウ、オナガガモなどのほか、主に水鳥の渡りの中継地として知られている所です。1981年(昭和56年)、日本野鳥の会が日本最初の野鳥の聖域に指定してネイチャーセンターを建設し、日本最初のレンジャーを常駐させ野鳥の保護活動の拠点として位置づけられたところでもあります。1991年(平成3年)には国内4番目のラムサール条約登録湿地としても指定され、日本ばかりでなく今では国際的にも重要な地域になっています。 <3月> 探鳥会は湖畔の駐車場から50mほどの湖岸に集まり、ここからスタートします。集合場所の湖岸周辺には多くのオオハクチョウ、コハクチョウ、コブハクチョウにオナガガモなどが群れになっています。これらの鳥たちが岸辺に上がってのんびり休んだり、人が近づくと餌を求めて寄って来たり、付きまとったりと人慣れしているのには驚かされます。 さて眼を西方へ(湖の西端)向けるとマガン、ヒシクイなどが50~60羽以上も集まっていることもあり、岸辺のヨシ原近くには色々なポーズをしたアオサギが並び、その手前を優雅に浮かぶオオハクチョウ、コブハクチョウの姿をみることができます。視線を左に移して行きますと、遠く近くに白く美しいハクチョウの姿が浮かび、あちらこちらヒドリガモ、ヨシガモ、ハシビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、ホオジロガモ、ミコアイサ、カワアイサなどのカモ類をみることができます。この時期その年にもよりますが、残った氷の上や奥の対岸の林に留まっているオジロワシ、オオワシ、オオタカなどがみられることもあります。 集合場所付近での観察を一応終わると湖岸沿いにネイチャーセンターへ向かいます。しばらく湖畔の灌木林が続き、アカゲラ、カラ類、カシラダカ、カワラヒワ、マヒワ、ウソ、イカル、シメなどの山野性の鳥との出会いが待っています。 移動を続けるうちに湖面を見る視点も変わり、ヒドリガモ、ミコアイサ、ヨシガモ、アメリカヒドリ、ホオジロガモ、そして水面の所々に現れたマコモやヒシ、ヨシなどの群落地にはアオサギ、トビに混じってオジロワシ、オオワシなどがよくみられ、ときにはツルシギなどがみられたりします。 やがてユースホステルの裏側(南)に着きますと冬季のハクチョウの給餌場があり、ここも間近にオオハクチョウ、コハクチョウ、オナガガモ、ヒドリガモなどがよくみられるポイントです。 対岸では時々ガンカモ類が何者かに驚くように何百何千羽の大群が一斉に飛び立つことがあります。その光景は実に見事なものですが、これはチュウヒ、オジロワシなど大型のワシタカ類の動きに驚き飛び立つもので、一部を除いては間もなくもとへ戻ります。湖面上では絶えずガンカモ・ハクチョウ・ワシタカ類が飛び回り、上空ではオジロワシやオオワシの悠然とした帆翔がみられることもあります。 センター駐車場を取り囲む雑木林とその周辺地には、冬鳥、留鳥、渡って来て間もない山野性の鳥たちが活発に動き回っています。センターの2階に上がると備え付けのスコープがあり、高い視点から湖の全体像がほぼみられます。ここからですとかなり遠くまで視界が効くため、地上からでは分からなかった新たな発見をすることも度々ありますので、是非上がってみることをお勧めします。センター東側軒下には餌台が設置され、間近に色々な鳥に混じって可愛いシマリスの姿をみることもできます。 <11月> 右に湖面、左に雑木林の湖岸をウオッチングしながらネイチャーセンターに向かいます。春3月に比べカモ類の出現種類や観察ポイントなどに大きな変わりはありませんが、秋は渡って来たガン・カモ類が休息をとった後、一部を残し順次南へ渡って行くため、春のような大群に比べ静かな群れという感じです。またオジロワシ、チュウヒ、オオタカ、ノスリなどの猛禽類もよく姿をみせます。 公共交通機関……新千歳空港から道南バス苫小牧行きに乗車、「ウトナイ湖」で下車。湖畔まで徒歩3分。ネイチャーセンターに行くには「ネイチャーセンター入口」で下車します。 自家用車など……国道36号線を千歳方面から行くと、右手にローソンのある交差点を左折、すぐに駐車場があります。ネイチャーセンターに行くには,道の駅の1kmほど手前にある「ウトナイ湖サンクチュアリ」の道路案内に従って左折します。 ウトナイ湖サンクチュアリのホームページはこちら < 地図製作:高橋良直 > |